高山の原生林を守る会と斜平山の合同観察会 (2/2)   2013年5月12日


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斜平山は,米沢市街地側(東側)の山体が深層崩壊して大規模に崩れ,その急斜面と
崩壊土砂が堆積するふもとの緩斜面が合体した独特な景観となっています。
急斜面と緩斜面の境を南北に「中道」の林道が通って観察路になり,そこから,北方向
にとった写真から急斜面の傾斜が分かります。
もともと,斜平山は海底で堆積した堆積岩の山で,上部の露頭からは貝の化石もでます。
佐藤守さんの作成した今回の観察用パンフには,「スラスト・フロントマイグレーション」
(逆断層線の低地側への移動)という難しい解説もあります。

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急斜面に積もった雪は,毎年,なだれとなって滑り落ちます。
これが「斜平(なでら)山」の語源とも言われていますが,他にもいろいろ語源説があります。
米沢市民は,斜平山のなだれを見て春の訪れを感じる風物詩となっているのですが,
今年は例年にない積雪で,なだれも大規模だったようです。
写真は,急斜面を少し登り,下の杉植林地を撮影したものですが,結構な太さの杉が
なだれで、なぎ倒されていました。
太さからは少なくとも30~50年ほどの樹齢と思われ,数十年規模のなだれが発生したようです。

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斜平山は,人の手が絶え間なく入る里山なので,いわゆる原生的な景観では
なく,樹木もそれなりのものが生育しています。
大森山森林公園の道路法面に生えているヒメヤシャブシもその一つです。

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斜平山の植生で驚くのはトリカブト群落の規模です。
急斜面を埋め尽くすように繁茂します。
オクトリカブトと言われてますが,トリカブトも多くの種類があり見分けられません。
今回の観察会では,トリカブトの若芽があちこちに出ていました。

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ヒメニラ  葉がニラの匂いがします。

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シャク

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スミレサイシン(白花)  多くは,青色の花ですが,白色もぽつぽつとあります。

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ヒトクチタケ
松の木にキノコがありました。松茸のような匂いがします。
清水大典さんのキノコの本によると,一種特有の乾魚のような臭気と書いてあります。

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ベニイタヤ(アカイタヤ)

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ウスバサイシン
スミレサイシンの語源になった植物です。ヒメギフチョウの食草です。

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キバナイカリソウ
斜平山では,日本海側のキバナばかりですが,福島から来た方にはとても珍しそうです。

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ユキツバキも満開でした。
福島の太平洋側ではヤブツバキで,ユキツバキはありません。
ユキツバキは花弁が一重,おしべの基部も離れているなどの違いがあります。

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参加者の集合写真 存分にスプリングエフェメラルを堪能しました。
素晴らしい斜平の山を大事にして欲しいというのが,福島の方々からのメッセージでした。