【2-2-6】弥兵衛平湿原

弥兵衛平湿原-2005年6月-(その6-生育状況)

picture 2005年6月23日に、播種現場の現状視察をした。
昨年及び一昨年に播種し、あわせて昨年植生マットによる再被覆を行ったところである。 いずれも風雨や風雪に耐え、無事越冬できたことを確認した。 04年に播種、マルチング。手前の1列はマット2枚で被覆。 

picture 03年に播種、04年にマルチング(2枚)
右奥がミタケスゲ播種区。

picture 04年播種区の近接写真(05.6.23)
1~2㎝の細い芽生えが散見されるのみで、離れるとほとんどわからない。 これらは種子の大きいミタケスゲと思われるが、03年のミタケスゲ播種区に比べると播種密度が 1割弱しかないので、芽生えの密度ははるかに小さい。このほかミヤマイヌノハナヒゲと思われる 微小な芽生えが目を凝らすと見られた。

picture 03年のミタケスゲ播種区(05.6.23)
10cm四方あたり10~20株ほど、平均草丈5㎝ほどの芽生えが見られた。 一方、ミヤマイヌノハナヒゲ(およびミカヅキグサ)播種区では芽生えが繊細で、 この時期は目を凝らさないとほとんど見えなかった。

picture 03年播種区のミヤマイヌノハナヒゲ(05.6.23)
植生マットの外にこぼれて発芽したものだが、根が浮き上がっているのがわかる。 地表の霜柱によって根が押し上げられたものと推察される。このままではいずれ植物は枯死する。

picture 04年播種、1枚被覆区(05.6.23)
コの字形鉄ピンが10cm以上押し上げられているものもあり、凍上対策は避けて通れないことを思い知らされた。 この凍上を防止するには植生マット1~2枚では足りず、安価で有効な被覆素材を早急に研究する必要が生じている。

picture 05.9.3現在の03年ミタケスゲ播種区
6月の視察時から70日余経ったので、遠目にも緑がわかる程度まで成長した。 1年後にもこの密度を維持して成長してくれることを願うのみである。

picture 同じく05.9.3現在の04年播種区
03年播種区ほどではないが、やはり6月に較べると顕著に成長している。 やがて来る晩秋と早春の凍上を防止し、せっかく芽生えた湿原の草たちを何としても守り、 裸地化した泥炭の表面を緑化したいものである。