【4-2-2】馬場谷地湿原公開質問に対する回答(秋田営林局)平成10年8月28日
秋田営林局
森林管理部長
「山形県自然保護団体協議会」幹事団体「出羽三山の自然を守る会」 会 長 岩 浪 満 殿 「吾妻の森と緑のトラスト運動」 代 表 高 橋 敬 一 殿 「吾妻の自然研究会」 (旧称 原生林里山水田を守る置賜ネットワーク) 代 表 吉 益 悦 子 殿 皆様には,日頃から吾妻山周辺森林生態系保護地域の管理につきまして格別のご支援ご協力を賜り厚くお礼申し上げます。 さて,先般送付のありました質問状について,下記のとおり回答いたしますので,よろしくお願い申しあげます。 なお,本件につきましては,林野庁経営企画課,前橋営林局計画課,米沢森林管理センターあてにも照会がございましたが,当方より一括して回答させて頂きますので,よろしくお願い致します。 1 重機使用などについて ① 砕石での「舗装」,重機使用の登山道拡幅,重機走行のための登山道外の伐採は営林局が計画実施したものか,それとも施工業者が勝手に行ったものなのか教えていただきたい。
(回答)ご指摘の件については,営林局が計画実施したものであります。 なお,歩道入口箇所は,以前から粘土質で滑りやすく,歩きにくい所でありましたが,小型運搬車の走行によりぬかるみになったので敷き砂利をしたものです。 資材運搬については,人肩運搬の困難性等から小型運搬車を使用したところであります。 ② 営林局の計画による場合は,このような施工方法が森林生態系の保護とどのように整合するのか教えていただきたい。
(回答)特に,登山道外に重機走行のため広範囲に伐採することは森林生態系保護地域の理念に全く相反すると思われるのだが,どのような見解なのか教えていただきたい。 ご指摘のとおりで,小型運搬車による資材運搬等のため,-部樹木の伐採や植生の消失など,適切さに欠けていたと考えております。 ③ 工事施工の計画書及び工事内容の詳細(施工業者,契約内容,施工内容,検査年月日,施工金額その他本工事に関わる詳細)を教えていただきたい。
(回答)工事の詳細については,別紙のとおりです。 ④ 竣工検査を実施した時に実際に現地を調査したのか,調査したならどのような調査結果なのか教えていただきたい。
(回答)工事完了後,現地で検査を実施した結果,竣工を確認しています。 ⑤ 現在の状況について問題ありと認識しているのか,問題なしと認識しているのか教えていただきたい。
(回答)問題があると認識しており,速やかに植生回復等に取組みたいと考えています。 ⑥ 無惨に破壊された植生の回復について具体案を考えているのか教えていただきたい。
(回答)今後,丸太階段工隣接の裸地箇所,小型運搬車の走行跡地,歩道入口の盛土箇所など必要な個所については,自生種による植生回復,集積枝条の整理,誘導ロープの設置による歩道の拡大防止,丸太階段の段差の改善,盛土の歩道への敷き均し,洗堀防止の水切りなどを行う考えでありますが,なお,細部にわたって専門家,貴会等のご意見をいただき決定したいと考えています。 ⑦ 施工業者が勝手に行ったものである場合は,業者に対しどのような指導を行ったか,あるいは,行うつもりであるか教えていただきたい。
(回答)工事施工者が勝手に行ったものではありません。 2 馬場谷地の木歩道について ① 丸太輪切施工(直径40cm~50cm,長さ60cm程度の唐松の輪切り)が従来の木歩道よりも湿原保護のために適当である根拠を教えていただきたい。
(回答)白神山地の泥薄地での例によれば,輪切り丸太は,従来の木道に比べ消雪時の被壊が少なく,歩行者の誘導にも効果的と考え使用しました。 しかし,この工法が当該湿原の特性に適合していたかどうか設計時点での検討が不足しており,従って現場での泥炭層の撹乱など施工が不適切なものになり,湿原へ悪影響を与えてしまいました。 ② 高層湿原の湿地帯で,泥炭層を丸太輪切施工により撹乱し泥状にした結果,すでに20本ほどが浮力により浮かんでいるが,これも予想していたことなのか教えていただきたい。
(回答)①と同様であり,予想していませんでした。 ③ 丸太輪切りを埋め込んだ場所は,湿原の回復が不可能となってしまったが,そのような施工が妥当である根拠を教えていただきたい。
(回答)①と同様です。 なお,湿原の回復については,専門家や貴会のご意見を聞き,その回復を図る考えであります。 ④ 馬場谷地東側では,従来の登山道が湿原の端を巻くように存在していたにもかかわらず,あえて,湿原を破壊して湿原の真ん中に丸太輪切りを埋め込んだのはいかなる理由か教えていただきたい。
(回答)コースの設定については,泥棒化した箇所や一部踏み跡の見られた箇所を選定しました。慎重な検討が不十分であったと考えています。 ⑤ 馬場谷地の案内掲示板が,わざわざ湿原内に湿原を被壊して設置してあるが,湿原を避けてその人口付近に設置することが容易であるのに,あえて,このような場所に設置した理由を教えていただきたい。
(回答)解説板の設置箇所は,湿原が最も展望しやすい場所である湿原と湿原の中間に位置し,湿地と陸地化されている境目を選定しました。 ⑥ 丸太輪切りの周囲の湿原の被壊状態からして,湿原内にも重機が入り込み丸太を重機で設置したものと思われるが,このような工法が湿原の保護とどのように適合するのか教えていただきたい。
(回答)①と同様であり,適合しておりませんでした。 ⑦ 馬場谷地湿原は,乾燥化の傾向が見られ心配していたのであるが,このような高層湿原にわざわざ排水溝を設ける理由を教えていただきたい。
(回答)以前より,ぬかるみ状態になっていた箇所を,工事施工者が現地資材により排水溝にしたものです。 湿原保護のため速やかな取り外しを考えています。 ⑧ 丸太輪切りの現状について問題ありと認識しているのか,問題なしと認識しているのか教えていただきたい。
(回答)問題があると認識しております。 不安定な輪切り丸太については,今後ともその経過観察を行い,必要に応じ輪切り丸太上部に踏み板を敷設することや支柱による補強を考えています。 なお,将来的には,新たなルートの可能性について検討することを考えておりますが,その際には,専門家や貴会のご意見をお聞きしたいと考えています。 ⑨ 湿原の回復について具体案を考えているならどのような内容であるか教えていただきたい。
(回答)湿原の回復についても,専門家や貴会のご意見を聞き,その回復を図る考えであります。 また,湿原保護のため,誘導ロープや注意看板の設置を考えています。 別 紙
|